4-7.情報源

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4-7.情報源

購入する物件の方向性が決まったら
どうやってその物件情報を得るかを検討します。

求めている物件の情報が出てくる可能性の無いところを
どんなにアプローチしても時間や労力の無駄です。

情報源は不動産投資をする上できわめて重要です。

「ネットの物件は利回りが低くて買えません」
「良い物件の情報が回ってきません」
「購入を検討するに値する物件がありません」

という方が多いのですが、そもそも

どこに優良物件の情報があるのか

みなさんご存じないのだと思います。

投資手法を紹介する本やセミナーはあっても、
物件の“情報源“について
伝えるものはほとんどありません。

ここでは一般の方が活用できて
格安優良物件の情報が出てくる可能性のある

『3つの購入ルート』

に絞ってお話をしていきます。

購入ルート1

不動産ポータルサイト

「なーんだ、ポータルサイトかぁ…」

と思ったかもしれませんが、

実は、楽待や健美家など
あなたが普段見ているような
不動産ポータルサイトにも
格安優良物件は公開されます。

「本当ですか?」
「見たことないですよ」

と思うかもしれませんが、
本当にあります。

ポータルサイトに格安優良物件が出てくる理由

それは

「業者の値付けミス」

です。

業者だからと言って、適切な売り出し価格を
常に設定できるわけではありません。

相場よりも安い価格で売り出してしまうこともあるのです。

値付けミスが起きやすい状況としては
次のようなケースがあります。

・地域密着型の不動産会社が遠方の不動産を取り扱うケース

よく知らない地域の不動産なので価格設定を間違えやすいです。

・居住用の不動産を中心に扱う会社が投資用の不動産を取り扱うケース

居住用不動産の値付けと投資用不動産の値付けは考え方が違うため
価格設定を間違えやすいです。

・賃貸管理をメインにしている不動産会社が、管理している物件のオーナーから売却を依頼されるケース

賃貸に関してはプロでも、売買に関しては素人なので
販売価格を見誤る可能性があります。

他にも「売り急いでいる」物件だと
価格よりも期間が優先されて
指値ができることがあります。

ポータルサイトでもうまく探せば
優良物件を探し当てることができるのです。

購入ルート2

競売

不動産の競売というと、一般的には裁判所の管轄で行う競売を指します。
「きょうばい」ではなく「けいばい」と読みます。

例えば、住宅ローンでお金を借りた人(債務者)が
何らかの理由で返済が滞ると、お金を貸した側(債権者)は
裁判所に申し立てをして、債務者の不動産を競売で売却してもらい
貸したお金を回収しようとします。

これが競売の始まりです。

このあと裁判所が対象の不動産を調査して資料にまとめ
それを一般公開します。

私たちはその情報をもとに入札することになります。

競売は市場価格の50〜70%とも言われています。

また、市場ではほとんど売りに出ない優良物件が
出てくることも珍しくありません。

競売不動産には『売らざるを得ない事情』があり
所有者の意思に反して強制的に売却されるため
本当は手放したくない「お宝物件」が出てくることが多いのです。

競売は、業者と対等に戦える
“唯一”の購入ルート

ポータルサイトの話でおわかりのように
一般流通市場では物件の見極めと買付けの「スピード」が重要です。

購入の判断に時間がかかっていると
ライバルに先を越されてしまいます。

特に優良物件の場合は数時間、時には数分の遅れが
命取りになることもあります。

「タッチの差で他の業者に買われてしまった」

というのはよくあることです。

一方、競売では物件情報が公開されている期間や
入札期間、購入代金を払う期日などの
スケジュールが予め決められています。

早い者勝ちではないので、平日に働いている
サラリーマンの方であっても、
休日や空き時間を使ってじっくり検討できます。

競売不動産が購入の選択肢に加われば、
格安優良物件を購入できるチャンスが
今よりも増えるのは間違いないでしょう。

競売で安く買える理由

なぜ競売が安く買えると言われているのか
もう少し詳しく説明します。

競売には裁判所が決めた最低入札価格があります。

これを「買受可能価額」というのですが
これは裁判所が選任した不動産鑑定士が
不動産の価値を評価して算出した売却基準価格の
2割引の金額と決められています。

つまり、不動産鑑定士が1000万円の価値をつけた不動産なら
800万円から入札できるのです。

スタートが実際の価値よりも安いので
入札者が少なければ実際の価値よりも安く落札できるわけです。

安く買えるもうひとつの理由は、
不動産鑑定士が算出する不動産の価値
「売却基準価額」の計算方法にあります。

実は、売却基準価額には、購入する人が負担する
リスクが考慮されています。

というのも、

競売では購入するまで内覧ができないケースがあったり
購入後にシロアリや家の傾きが発覚しても
自分で責任を負わなければならないなど
市場で購入するのに比べてリスクが高いからです。

そのため、不動産鑑定士が算出した評価額から
そのリスク分を差し引いた額が
「売却基準価額」として使われるのです。

これを競売市場修正といいます。

以上のことを図で表すと以下のようになります。

このように、不動産鑑定士が算出した価値よりも
最低入札価格が安く設定されます。

他にも、

・不動産鑑定士の評価が市場価値より低く評価されるケースがある
・入札者がいないと最低入札価格が半額になってもう一度競売にかけられる
・仲介手数料がかからない

など、競売には格安になる要素が一般市場に比べて多いです。

購入ルート3

川上業者からの紹介

ポータルサイトや競売のように自力で格安優良物件を探す以外に、格安優良物件の情報を持っている不動産業者から情報を流してもらう方法もあります。

自分で探す必要がないので、不動産投資に費やす時間や不動産の知識が無くても格安優良物件を手に入れられる可能性があります。

ただ、不動産業者にも色々なビジネスモデルがあり、格安優良物件の情報が入ってくる業者と入ってこない業者があります。

格安優良物件の情報を持っていない業者と関わっても時間の無駄です。

付き合う業者は注意深く見極めなければなりません。

格安優良物件の情報を持っている
業者を見極める

格安優良物件の情報を持っている業者かどうかを見極めるには
次のような視点で業者を見ることです。

・その業者はどうやって儲けているのか?
・その業者が売りに出している不動産はどういう経緯で売りに出されているのか?

不動産業者を物件の”情報源”として見たとき
業者は大きく7つに分類できます。

まず、格安優良物件の情報を持っている可能性があるのは
次のような業者です。

1:物上げ(ぶつあげ)業者
不動産の所有者から直接依頼を受けて売却の仲介を行う。
元付け(もとづけ)業者とも言います。

2:任売(にんばい)業者
破産や住宅ローンの滞納などで差し押さえられた物件が
競売にかけられる前に、利害関係者と交渉して
直接売却してもらえるように調整する(任意売却)。

弁護士やサービサー(債権回収会社)と繋がっている。

3:地場業者
地方の駅前にある古くからある業者。地元の不動産情報が集まっている。

4:大手業者
大手の看板で不動産に関する様々な相談が舞い込んでくる。

以上のような業者は不動産売却のご相談を受ける仕組みや
ネットワークを持っており、売却情報の「川上」にいる業者と言えます。

情報の川上にいると、様々な背景で
売却のご相談を受けることになります。

市場に出して高く売ることよりも

「公にせず穏便に済ませたい」

という方もいれば

「売らざるを得ない状況」

に置かれている方もいらっしゃいます。

こういった売却案件の中に
格安優良物件が出てくることがあるのです。

情報の川上にいる業者と接点が持てれば
格安優良物件を手に入れるチャンスが訪れます。

一方で、格安優良物件の情報を持っている可能性が低いのは
次のような業者です。

5:客付(きゃくづけ)業者
レインズ(業者間で不動産の売却情報を共有するWEBサイト)に掲載されている物件を、自社の購入見込み客に紹介して仲介手数料で稼ぐ

そもそもレインズに掲載されている物件に格安優良物件が少ない。また、売り主と直接やりとりができない(売り主から売却の依頼を受けている業者を通す必要がある)ため指値などによる値下げ交渉が難しい。

6:買取業者
情報の川上に立つ業者から物件を安く買い取って、リフォームして高値で売り抜ける

商品化して利益を乗せた状態で売っているので、格安になることはまずありません。

7:三為(さんため)業者
売主Aがいて最終的な買主Cがいるときに、A→B→Cという形で中間に入って売買を行う業者。業者Bは買主Cに代わって、売主Aと売買契約を交わします。業者Bは自社で不動産の登記をせず、不動産の所有権をA→Cと直接移転させます(中間省略といいます)。

業者BはAから購入した金額に利益を乗せてCに転売するため、格安になることはまずありません。

このような業者は「販売」に力を入れています。

不動産セミナーを開いて人を集め
購入のメリットを全面に押し出した巧みな営業トークで
契約につなげる手法を取るのが一般的です。

不動産会社のWEBサイトで会社概要を見たり
主催しているセミナーに参加すれば
どの業者かある程度は見当がつきます。

格安優良物件の情報を持っていない業者に
アプローチしないように気をつけてください。

ちなみに、新築不動産は販売する不動産会社の
利益が乗った状態で市場に出されるので
格安になることはありません。

ここまで一般の方でも活用できる
格安購入ルートを3つご紹介してきました。

1:不動産ポータルサイト
2:競売
3:川上業者からの紹介

これらの購入ルートを活用して
実際に物件を購入する上で重要なのは

勝てるフィールドで戦う

ということです。

例えば、

不動産の知識が乏しく、不動産自体に
そこまで情熱を持っていない方が
競売を狙うのは正直難しいです。

裁判所から提供される資料には専門用語が多く
書かれていることが何を意味するのか
理解するだけでも大変です。

また、落札後は自分が主体となって
賃貸に出せるようになるまで
物件の手入れが必要ですし、

リフォームを業者に依頼するにしても
自分で良い業者を探さなければなりません。

信頼できる川上業者を見つけて
物件を紹介してもらうほうが良いでしょう。

一方、

不動産は大好きだけど平日は終電まで働き
休日は家族サービスでなかなか時間が取れないという方は
不動産業者から紹介を受けるのは難しいかもしれません。

セミナーや個別面談で業者と接点を持ち
信頼関係を築けなければ良い物件は
なかなか紹介してもらえません。

その場合、スキマ時間や家族が寝静まった後に
ポータルサイトで探したほうが近道かもしれません。

このように、今の自分の状況に合った
購入ルートを選ぶ必要があるのです。

購入ルートはひとつに絞り込む

それぞれの購入ルートには強力なライバルがいます。

一般の方だけでなくプロである不動産業者も
格安優良物件を買うために必死になっています。

すべての購入ルートに手を出すと
かけられる時間とエネルギーが分散して
どれも中途半端になってしまいます。

ですから、攻める購入ルートは1つに絞らなければなりません。