4-5.節税

4-5.節税

税金対策は物件探しとは違って
取り組めば必ず成果が出ます

不動産投資は数百万、数千万、数億円規模で
お金が動きますので、税金の額も数十万円、
数百万円と大きくなります。

物件を購入する前に仕込む必要がある節税対策は
最優先で取り組んでおくべきです。

ここでは投資戦略の時点で検討しておくべき
3つの節税対策をご紹介します。

投資戦略で検討すべき節税対策1

法人の活用

法人を活用する節税では、
個人と法人の税率の差を利用するのが基本です。

特に個人の所得税率が高い場合は
法人税率のほうが低くなることがあります。

それ以外にも利益を役員報酬として
家族や親族に支払ったり

個人では経費と認められないものが
法人だと認められる意外な費用があります。

法人は物件保有中に取れる税金対策の選択肢が
増えるというメリットがあるのです。

その中でも一番キャッシュフローに与える
インパクトが大きいと言われているのが

『減価償却費』

の計上の違いです。

例えば、個人で1億円の建物(耐用年数20年)を買うと
利益があろうがなかろうが、年間500万円の
減価償却費が強制的に計上されます。

しかし、法人の場合は上限を500万円として
減価償却費は自由に計上できます。

利益を見ながら、自分の投資戦略にあった
減価償却費の使い方ができるのです。

ただ、個人名義で買ったほうが
メリットが大きい場合もあります。

個人名義で買うか、法人を設立して法人名義で買うか
早期に方針を固めて準備を進めておきましょう。

ただ、法人を活用した節税は複雑なので
不動産投資に精通した税理士の支援を
必ず受けてください。

投資戦略で検討すべき節税対策2

消費税還付

投資用不動産を購入する場合
建物の購入代金には消費税がかかります。

例えば、1億円で物件を購入し
そのうち4,000万円が土地代とすると
残りの6,000万円が建物代です。

消費税法上、土地の売買は非課税取引で(消費税がかからない)
建物の売買は課税取引(消費税がかかる)です。

つまり、土地4,000万円には消費税が含まれていませんが
建物6,000万円には消費税が含まれていることになります。

建物代金に含まれる消費税の計算式は

建物代金 × 8/108

です。

建物が6,000万円の場合は

6,000万円 × 8/108 = 約444万円

の消費税が含まれることになります。

つまり、建物代金6,000万円の内訳は、

建物代金(税抜):約5,556万円
消費税:約444万円

ということです。

何もしなければこの消費税は払ったままですが
ある手順を踏むとこの消費税444万円が
現金一括で戻ってくるんです。

これを『消費税還付』と言います。

消費税還付に成功すれば、申告から1~2ヶ月後に
数百万円、数千万円単位の現金が
銀行口座に振り込まれます。

キャッシュフロー = 総収入額 ― 運営経費 ― ローン返済額 ― 税金

で考えると、

消費税還付は「総収入額が増える」ことになります。

数百万円単位で特別ボーナスが入る

と考えてください。

物件購入後に数十万円から数百万円かかる
不動産取得税(固定資産税評価額の4%) を
手持ちの資金を使わず還付された消費税で支払えるので
キャッシュフローを大幅に増やすことができます。

月々の収入アップを目的とするなら
消費税還付をやらない理由は見当たりません

ただし、タイミングを1日でも間違えると
還付を受けられなくなるので注意が必要です。

消費税還付を成功させるには
購入の半年以上前から綿密な計画が必要です。

税理士の方に相談するなら

・売買契約、請負契約する前
・融資依頼をする前、
・新規法人を設立する前

にしましょう。

投資戦略で検討すべき節税対策3
減価償却費の活用
家賃収入を目的とする場合
キャッシュフローは毎年の現金収支を指しており
できるだけ高くしなければなりません。

税引前キャッシュフロー
= 総収入額 ― 運営経費 ― ローン返済額(元金と利子)

一方、利益とは税金を計算する時のもとになるもので
できるだけ小さい方が税金は少なくなります。

利益は総収入額から経費として計上できるものを差し引いて計算します。

計算式にすると次のようになります。

利益 = 総収入額 ― 運営経費 ― ローン返済額(利子のみ) ― 減価償却費

ローンの返済元金は経費として扱えないため
差し引くことができません。

その代わりに「減価償却費」を差し引きます。

減価償却費が大きくなると
利益が減り、税金が安くなる

減価償却費とは簡単に言うと「モノの劣化代」です。

建物の劣化に応じて、建物金額の一部を
毎年徐々に経費化していくことを言います。

耐用年数という、法定上の使用可能な期間に従って
減価償却(=その物の価値を年数とともに減少させていくこと)
をしなければいけないという決まりがあります。

1億円の建物を買う場合、
お金は一度に出ていきますが
経費として1億円が計上できるわけではないのです。

建物は構造ごとに耐用年数が決められています。
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税法ではこの耐用年数に応じて
償却率というものが決められています。

例として、1億円の新築建物の減価償却費を
構造別に計算してみます。
R C 造 :1億円×償却率0.022(耐用年数47年)=減価償却費220万円/年
重量鉄骨:1億円×償却率0.030(耐用年数34年)=減価償却費300万円/年
木 造 :1億円×償却率0.046(耐用年数22年)=減価償却費460万円/年

木造はRCの倍以上の減価償却費を年間に計上できます。

しかし、気をつけないといけないのは
減価償却費を計上できる期間です。

RCだと220万円の減価償却費を47年間計上できますが
木造だと460万円の減価償却費を22年間しか計上できません。

つまり、同じ1億円の建物をRCは47年
重量鉄骨は34年、木造は22年間かけて経費にしていくので
耐用年数が短い建物ほど、年間の減価償却費が多くなって
利益が減ることになります。

その分税金が減って、最終的に
税引き後キャッシュフローが多くなります。

建物が中古の場合は、
次の計算式で耐用年数を計算します。

1:築年数が耐用年数を超えている場合

法定耐用年数×20%

例:木造の建物(耐用年数22年)で耐用年数を超えている場合
木造の耐用年数22年×20%=4年

2.築年数が耐用年数の一部を経過している場合

(耐用年数-経過年数)+ 経過年数×20%

例:RCの建物(耐用年数47年)で20年経っている場合の耐用年数
27年(RCの耐用年数47年-築年数20年)+4年(築年数20年×20%)=31年

この耐用年数をもとに減価償却費を計算します。

減価償却をすることができるのは建物だけです。

土地は劣化しないものとみなされるため、減価償却できません。

土地代はキャッシュフローに良い影響を与えることはありません。

つまり、物件価格の総額のうち
建物の割合が高ければ減価償却費も多くなり
節税効果が高くなってキャッシュフローが
増えるということなのです。

物件を購入する際に、建物の金額を売主と交渉して
売買契約書に記載することで、購入した後の減価償却費を
事前にコントロールすることができます。

ちなみに、売主が個人などで
消費税を納める義務のない非課税業者の場合
建物と土地の価格の内訳が手取り収入に直接関係しません。

買主の要望が通る可能性が高まります。

このように、

キャッシュフローを増やせるかどうかは
“購入前”から決まっています。

節税対策は投資戦略時点で方針を決めておきましょう。